四十肩・
五十肩

四十肩・五十肩は、肩周辺の組織に炎症が起きた状態とされています。
正式な診断名は「肩関節周囲炎」であり、四十肩・五十肩は発症しやすい年代を表した通称になります。

 

【四十肩・五十肩の原因】

四十肩・五十肩の明確なメカニズムは分かっていません。
しかし、肩まわりに炎症を起こす要因には、次のものが考えられています。

 

●加齢

年齢を重ねるごとに肩まわりの筋肉や腱、関節包といった組織の柔軟性が低下していきます。
日常動作によって変性した組織に微細な損傷が積み重なり、突然の炎症に繋がると考えられています。
「腕を上げる」「肩を前後にひねる」「腕を同じ位置で固定する」など、特別な動きをしていなくとも肩には常に負荷がかかっています。

 

●血行不良

血の巡りが悪くなっていると、組織の修復に必要な栄養素が運ばれず炎症を引き起こしやすくなります。
日常生活では、運動不足や姿勢不良などの影響で、肩まわりの血流を悪化させる場合があります。

 

●使いすぎ、ケガ

腕の使いすぎや肩まわりのケガによって、関節周辺に炎症を起こしてしまうケースもあります。
四十肩・五十肩は中年の方に多くなっていますが、血行不良や使いすぎなどによっては、若い方も肩の炎症に悩まされる可能性があります。

 

【四十肩・五十肩の症状】

●安静時痛（夜間痛）

炎症が強く出ている初期の段階では、肩を動かさなくてもズキズキと痛みやすいです。
特に夜寝ているときに痛みが悪化する「夜間痛」は、四十肩・五十肩の特徴的な症状です。

 

●可動域の制限

炎症の影響で関節が固まってしまい、肩の動きが制限されてしまいます。
四十肩・五十肩に関しては「肩の挙上（腕を上にあげる動作）」や「肩の外旋・内旋（内側や外側にひねる動作）」が痛みでできなくなることが特徴です。

 

【肩こりとの違い】

肩こりは「疲労の蓄積による筋肉のこわばり」が原因に考えられているため、炎症が起きている四十肩・五十肩とは別物になります。
肩こりでは安静時の強い痛みや、日常生活に支障が出るほどの可動域制限は特に生じません。

四十肩・五十肩を発症した際には、急性期、慢性期、回復期と状態に合わせた対処を行いましょう。
長期に及ぶケースも多いですが、焦らず慎重な対処を心がけてください。

 

【対処法】

●急性期

痛みが強く出ている時期は、無理に動かさないようにしてください。
炎症を悪化させて、症状を長引かせる可能性があります。
また、氷水で熱っぽくなっている箇所を冷やしたり湿布を貼ったりすることで炎症症状を抑えることが可能です。

 

●慢性期

鈍い痛みや筋肉が突っ張るような痛みに移行しましたら、患部を徐々に動かしていきます。
可能な範囲で日常動作を行い、ストレッチや体操によって関節がこわばらないようにケアしていきましょう。
急性期と違い、肩まわりを温めることで、関節周囲の柔軟性が回復しやすくなります。

 

●回復期

日常生活には支障がない程度まで、症状は改善していきます。
腕を上げた際のつっぱり感は残るかもしれませんが、引き続きストレッチや運動で腕を積極的に動かしましょう。

 

【予防法】

四十肩・五十肩の再発を防止するには、普段から身体のケアをしておくことが大切です。
例えば、次のような予防方法があります。

 

●適度な運動

肩まわりの血行が悪化していると、炎症を起こしやすくなります。
ラジオ体操や水泳、ヨガなど定期的に身体を動かす習慣を作りましょう。

 

●姿勢の改善

肩が前側に出た「巻き肩」になっていると、肩周辺の組織にストレスをかけてしまいます。
デスクワーク中も前のめりにならないよう、胸を軽く張った姿勢を意識してください。

 

●ストレッチ

肩まわりの柔軟性が低下していると、同じ動作でも筋肉や腱などへの負担を強めてしまいます。
お風呂上がりやシャワー後など、首や肩まわりのストレッチを取り入れて筋肉の柔軟性を維持しておきましょう。

四十肩や五十肩は症状の時期により対処が大きく変わってきます。
急性期と言われる症状出現から初期については痛みのある部位をなるべく安静にし炎症の出ている部位をアイシングし抑えることが重要です。
日常生活の簡単な動き(寝返りや衣服の着脱など)でも痛みが強く出やすいため極力安静にし痛みを出さないことが重要です。

慢性期に移行した症状は可動角度により強い痛みは続きますがつっぱったような痛みや関節が固まったような症状(関節拘縮)が強くなります。
この時期は患部を温め無理のない範囲で徐々にストレッチや体操などで動かしていくことが重要です。

回復期に入ってくると徐々に関節の拘縮が取れ可動域が広がってきますが拘縮が残っている場合は根気強くストレッチや体操を続けていく必要があります。

当院の施術としてはハイボルト、筋膜ストレッチ、超音波、カッピング、骨格・猫背矯正、温熱療法、テーピングなどを症状の時期に合わせて最適な施術をご提案いたします。

 

【四十肩・五十肩に対する施術方法】

■保険施術

骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(肉離れ)に対して接骨学に基づいた施術を行います。
カウンセリング・検査から始まり、患部への低周波療法、温冷罨法、固定、運動療法などが保険内施術となります。

 

■ハイボルト療法

高電圧の電気刺激を患部に浸透させ、疼痛の軽減や血行促進などを目的に行います。
「痛みの原因の見極め」「炎症の抑制」「痛みの緩和」が期待でき、急性期の痛みから慢性的な痛みの強い時期におすすめな施術です。

 

■経穴（ツボ）へのアプローチ

経穴を刺激し気血の流れを促進することで、症状を未病の段階で防ぐことに期待できます。
また、筋肉の緊張からなる「肩こり」などの慢性痛などの症状も経穴への刺激により血液循環を促進することで改善が見込めます。

 

■テーピング

貼り方を工夫して「ケガの予防」「パフォーマンス向上」「治療効果の持続」などの目的で行います。
ホワイトテープ、キネシオロジーテープ、スパイラルテープ、ティアライトテープ、エラスチックテープ、ストリンテックスなどのテーピングを症状、部位ごとに使い分けて使用していきます。

 

■CMC筋膜ストレッチ（リリース）

特殊な器具や手技により行う施術で、「血行促進→細胞の活性化→コラーゲンの形成」を促して組織の回復能力を高める施術です。
筋肉系のケガや痛み、関節の動きの悪さなどに対して施術することで痛みの緩和や可動域拡大に期待できます。

 

■温熱療法

岩盤マットやサーモフォア、超音波施術器を使い患部もしくは全身を温めます。
血流循環を促進し、痛み物質や老廃物の代謝や体外への排泄、冷え性の改善に期待できます。